最終更新: 2026-10-07
モルトかす(スペントグレイン)は、ビールを仕込む際に麦汁をろ過したあとに残る麦芽の搾りかすです。1回の醸造でも数百キロ単位で発生し、その多くが飼料や廃棄物として処理されてきました。2026年10月、北海道のエスコンフィールドHOKKAIDO内にあるヤッホーブルーイング直営店「そらとしば by よなよなエール」と酪農学園大学が、このモルトかすを犬用おやつに活用する産学連携プロジェクトを始めたと報じられました。本記事では、モルトかすの基本的な仕組みと、国内で広がる活用事例を整理します。
モルトかすとは?基本をわかりやすく解説

ビールの主な原料は麦芽(モルト)とホップです。仕込み工程では、粉砕した麦芽をお湯と混ぜて糖分を抽出し、「麦汁」をろ過して取り出します。このとき麦芽に残る繊維質や殻の部分が「モルトかす」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生タイミング | 仕込み工程で麦汁をろ過したあと |
| 主な成分 | 麦芽の繊維質・タンパク質・食物繊維 |
| 発生量の目安 | 醸造所の規模により異なるが、月間で数トン単位になることもある |
| 従来の主な用途 | 家畜の飼料、堆肥 |
モルトかすは栄養価が高く、タンパク質と食物繊維を豊富に含む一方で糖質は少ないという特徴があります。この栄養バランスの良さが、近年の食品・ペット用品へのアップサイクルの広がりにつながっています。
国内で進むモルトかすのアップサイクル事例

モルトかすの活用方法は、堆肥・飼料にとどまらず多様化しています。
| 活用方法 | 概要 | 事例 |
|---|---|---|
| ペット用おやつ | 栄養価の高さを生かし、犬用おやつの原料として加工 | エスコンフィールドHOKKAIDO「そらとしば by よなよなエール」× 酪農学園大学(2026年) |
| 再生紙・紙製品 | モルトかすを紙に混ぜ込み、名刺やメニューなどに加工 | 横浜ビールなど(神奈川県) |
| 食品(クッキー・グラノーラ) | 食物繊維豊富な麦芽粕を食材として再利用 | 複数のクラフトビール醸造所が商品化 |
| 飼料・堆肥 | 従来からの主要な用途。畜産農家との連携で循環 | 全国の醸造所で継続的に実施 |
エスコンフィールドHOKKAIDOの産学連携プロジェクト
ヤッホーブルーイングが北海道ボールパークFビレッジ「エスコンフィールドHOKKAIDO」内で運営する直営店「そらとしば by よなよなエール」では、クラフトビールの醸造過程で年間約10トンのモルトかすが発生しています。2026年10月、同社と酪農学園大学が連携し、このモルトかすを活用した犬用おやつの開発に着手したと日本農業新聞が報じました。
プロジェクトには同大学の獣医保健看護学類「動物と人の関係学ユニット」と食と健康学類「栄養教育学研究室」が参画しています。エスコンフィールドはペットと同伴観戦が可能でドッグラン施設も備えており、「飼い主はビール、愛犬はモルトのおやつ」という新しい観戦スタイルを提案する狙いがあります。試作品は2026年10月4日に江別市で開催された「動物愛護フェスティバルinえべつ2026」でサンプル提供される予定と報じられています。
ヤッホーブルーイングの会社概要や「そらとしば by よなよなエール」の開業時期については、ヤッホーブルーイング完全ガイドで詳しく解説しています。
モルトかす活用のメリットと課題

モルトかすのアップサイクルには、環境負荷の軽減という側面だけでなく、醸造所にとっての新しい収益・ブランディング機会という側面もあります。
メリットとしては、廃棄物処理コストの削減、栄養価を生かした新規商品開発、地域の大学・企業との連携による話題性の獲得が挙げられます。一方で、モルトかすは水分を多く含むため傷みやすく、加工までの保管・運搬にコストがかかる点や、安定した量を確保するには醸造スケジュールとの調整が必要になる点が課題として指摘されています。
モルトかすに関するよくある質問
Q1: モルトかすは体に害がありますか?
麦芽由来の天然の繊維質であり、食品衛生上の問題が報告されている成分ではありません。ただしペット用おやつとして使う場合は、各商品の原材料表示や獣医師の助言を確認してください。
Q2: 自宅で手に入れることはできますか?
一部のブルワリーでは、見学者や契約先の農家向けにモルトかすを無償・有償で提供している例があります。入手を希望する場合は、各醸造所に直接問い合わせることをおすすめします。
関連記事: 酒粕ビールとは?日本酒の副産物で仕込む醸造法と銘柄
関連記事: フレッシュホップビールとは?2026年秋に飲める場所・イベントまとめ
まとめ:モルトかすのポイント
- モルトかすは麦汁をろ過した後に残る麦芽の搾りかすで、栄養価の高い副産物
- 従来は飼料・堆肥が主な用途だったが、ペット用おやつ・紙製品・食品への活用が広がっている
- エスコンフィールドHOKKAIDOでは酪農学園大学との産学連携で犬用おやつの開発が進行中(2026年10月時点)
- 詳しい業界データはクラフトビール業界の統計まとめでも定期更新しています
ビールの原材料そのものについて知りたい方は、クラフトビールの原材料ガイドもあわせてご覧ください。
参考情報
- ビールのモルトかすで犬用おやつ エスコン飲食店と酪農学園大学が連携(日本農業新聞)(確認日: 2026-10-07、2026年10月時点の報道)
- 酪農学園大 地ビールのモルトかす活用 犬用おやつ開発へ エスコン飲食店と連携(日本農業新聞公式)(確認日: 2026-10-07)
- ビール醸造の副産物「モルト粕」を犬用おやつにアップサイクルする産学連携プロジェクト始動(PR TIMES)(確認日: 2026-10-07)
- 廃棄されるモルト粕をクラフト紙にアップサイクル(sotokoto online)(確認日: 2026-10-07、横浜ビール等の紙製品活用事例)
この記事はBrewHub編集部が執筆しました。BrewHubはクラフトビールに特化した専門メディアです。
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