スーパーのビールコーナーで「新ジャンル」と書かれた缶を手にとったとき、「第三のビールって結局なんなのか」と疑問に思ったことはないだろうか。ビールでも発泡酒でもない「第三の存在」として20年以上親しまれてきたこのカテゴリが、2026年10月の酒税法改正によって事実上終焉を迎えようとしている。
本麒麟・金麦・クリアアサヒなど人気ブランドが相次いでビールに格上げされるなか、「第三のビールとはなにか」「税制変更で値段はどうなるのか」「クラフトビールとはどう違うのか」を、醸造の視点を交えて完全解説する。
第三のビールとは——酒税法が生み出した日本独自のカテゴリ
第三のビールという呼び名は、酒税法上の正式名称ではない。国税庁の酒類分類では「その他の発泡性酒類」または「リキュール(発泡性)」に分類される飲料を、メディアが「ビール」「発泡酒」に続く第三のカテゴリとして俗称したものだ。業界では「新ジャンル」と呼ばれることが多い。
酒税法が定める3区分の定義
日本の酒税法は、ビール系飲料を大きく3つに区分している。
ビールは麦芽の使用比率が50%以上(2018年改正後)であり、ホップおよびビールの規定原料のみを使用した発泡性アルコール飲料だ。麦芽比率が高いほど原料コストがかかるため、酒税も最も高く設定されてきた。
発泡酒は麦芽比率が50%未満、または規定外の副原料(例:果実・野菜・香辛料など)を使用した発泡性飲料だ。1994年のバブル崩壊後、ビール需要が落ちると同時に「安いが似た風味」として登場し、急速に普及した。
第三のビール(新ジャンル)は2種類に大別できる。一つは、麦芽比率が低い発泡酒に麦由来のスピリッツや焼酎などを混合したもの(「リキュール(発泡性)」に分類)。もう一つは、麦芽や麦をほとんど使わず大豆・エンドウ豆・コーンスターチなどを主原料として発酵させたもの(「その他の発泡性酒類」に分類)だ。
いずれのタイプも「ビール」でも「発泡酒」でもない特殊な原料設計を採用することで、酒税を大幅に低く抑えることができた。その結果、スーパーでは100〜130円台という低価格で販売できる独自の市場ポジションを確立したのだ。
3区分の基本比較
| 区分 | 酒税法上の名称 | 麦芽比率の目安 | 主な特徴 | 酒税(350ml換算・2026年10月改正前) |
|---|---|---|---|---|
| ビール | ビール | 50%以上 | 麦芽・ホップ・規定副原料のみ | 63.35円 |
| 発泡酒 | 発泡酒 | 50%未満 | 副原料の種類・量がビール規定を超える | 46.99円 |
| 第三のビール | その他の発泡性酒類 / リキュール(発泡性) | 50%未満または使用なし | 発泡酒+スピリッツ混合、または豆類・穀物原料を使用 | 46.99円 |
注目したいのは、発泡酒と第三のビールの税率が同じ46.99円であるという点だ。税制上は同じ扱いでも、大豆を主原料とする第三のビールの方が麦芽を使った発泡酒より製造コストが低いケースがあり、その分さらに低価格での販売が可能だった。
ビール・発泡酒・第三のビールを徹底比較——味・原料・価格の違い
消費者が日常的に「どれを買うか」を判断する際の基準は「価格」と「味」だ。3区分の違いを多角的に見てみよう。
原料と製法の違い
ビールは麦芽・ホップ・水という基本3原料を中心に、麦・米・トウモロコシ・糖類などの副原料を一定範囲内で使用できる。麦芽由来のタンパク質と酵素が発酵を促し、豊かなコクと香りを生む。日本のビールは一般的に淡色ラガースタイルで、国際的なスタンダードに近い。
発泡酒は麦芽比率を下げた分、麦芽の風味が薄れる傾向がある。その代わり、ビールでは使えない原料(かぼちゃ・しょうがなど)を加えた個性的な商品も登場している。近年、クラフトブルワリーの小規模生産ではビールの規定外の原料を使いたいがゆえに発泡酒の製造免許で独自ビールを出すケースもある。
第三のビールはエンドウ豆由来のたんぱく(エンドウたん白)や大豆たんぱくを原料とするタイプと、発泡酒にスピリッツを加えるタイプに分かれる。前者は麦芽を一切使わないため麦の風味が弱く、後者はスピリッツのアルコール感が加わった独特の味わいになる。しかし2010年代以降の技術革新で、麦らしい香味を再現する技術が向上し、「ビールとほとんど変わらない」と評されるブランドも多数登場した。
市場での実勢価格比較
| 区分 | 代表ブランド | 350ml缶 実勢価格(税込・目安) | コンビニ価格 |
|---|---|---|---|
| ビール | スーパードライ、一番搾り、黒ラベル | 220〜260円 | 260〜280円 |
| 発泡酒 | 淡麗グリーンラベル、麦のひかり | 150〜180円 | 180〜200円 |
| 第三のビール | 本麒麟、金麦、クリアアサヒ | 120〜200円 | 180〜200円程度 |
| クラフトビール | よなよなエール、ヤッホー各種 | 250〜400円 | 320〜450円 |
第三のビールは安売り店と定価販売店の価格差が大きく、同じ銘柄でも100円台前半から200円近くまで幅がある点には注意したい。この価格差が消費者の選択を大きく左右してきた。とくに節約志向が強まった2010年代前半には、第三のビールがビール類全体に占めるシェアが約40%に達した時期もあり、日本人の「日常の一杯」として完全に定着した。
第三のビールの歴史——酒税との20年の攻防
第三のビールは、酒税という「制度」と「醸造技術」のせめぎ合いから生まれた日本独自の飲料文化だ。その歩みは、消費者の節約志向と国の税収確保の綱引きの歴史そのものである。
誕生の背景——発泡酒増税への対抗策として
1994年、サントリーが低価格の発泡酒「ホップス」を発売したことで、発泡酒市場が立ち上がった。ビールより安く「ビールに近い風味」という訴求が消費者に受け、市場は急拡大した。
しかし国は2003年(平成15年)、発泡酒への酒税を引き上げる改正を実施した。これに対応するため、ビール大手が「発泡酒でも増税の影響を受けにくい製法」として開発したのが第三のビールだ。
2003年、サッポロビールがエンドウ豆由来の「エンドウたん白」を麦芽の代わりに用いた「ドラフトワン」を発売。麦芽を一切使わないことで「その他の発泡性酒類」という新たな分類に収まり、当時の発泡酒より税率を低く抑えることに成功した。これが第三のビールの実質的な幕開けだ。
急拡大の時代——2005〜2015年
2005年、キリンビールが大豆たんぱくを使用した「のどごし〈生〉」を発売し、爆発的にヒット。続いて2007年にはサントリーが「金麦」を、2008年にはアサヒが「クリアアサヒ」を投入した。
各社が競うように製品を投入した背景には、消費者の強烈なコスト意識があった。2008年のリーマンショック後の景気後退期には「同じ飲むなら安い方」という意識がさらに強まり、第三のビールのシェアは拡大を続けた。
技術的な進化も顕著だった。初期の第三のビールは「麦らしさが薄い」「アルコール感が強すぎる」という批評も少なくなかったが、各社が醸造技術と原料調達を磨き続けた結果、2010年代には「発泡酒との違いがわからない」どころか「ビールと区別がつかない」という声まで出てくるほど品質が向上した。
2017年に発売されたキリン「本麒麟」は、麦芽比率を発泡酒との境界ギリギリの50%未満に抑えながら、長期低温熟成と独自のホップ使用で深いコクを実現。「第三のビールの完成形」とも評され、発売直後から圧倒的な支持を集めた。
転換点——2018年酒税法改正
2018年(平成30年)、政府は酒税法を大幅に改正した。ビール・発泡酒・第三のビールの酒税率を段階的に変更し、2026年10月1日をもって350ml換算で一律54.25円(1リットルあたり155円)に統一することを決定した。
この改正の趣旨は「税負担の公平性の回復」だ。原料・製法が異なるとはいえ、消費者が同じ目的(日常の食中酒・晩酌)で選ぶ飲料の間に最大で1本あたり70円以上の税額差があったことは、税の中立性の観点から問題があると判断された。
この決定により、第三のビールというカテゴリの「存在意義」である価格優位性が消えることが確定した。
2026年10月 酒税統一——第三のビールはどうなるのか
2026年10月1日は日本のビール市場にとって歴史的な転換点だ。ビール・発泡酒・第三のビールのすべてが、350ml換算で54.25円という単一の酒税率に統一される。
段階的税率変更の推移
| 飲料区分 | 2020年10月(第1段階) | 2023年10月(第2段階) | 2026年10月(最終統一) | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| ビール | 70円 | 63.35円 | 54.25円 | ▼9.1円(値下げ方向) |
| 発泡酒 | 46.99円 | 46.99円 | 54.25円 | ▲7.26円(値上げ方向) |
| 第三のビール | 46.99円 | 46.99円 | 54.25円 | ▲7.26円(値上げ方向) |
2026年10月以降、ビールの酒税は値下がりする一方、第三のビールと発泡酒の酒税は引き上げられる。
第三のビールにとって最大の打撃は、これまでの価格優位性が制度上消滅することだ。350ml缶1本で約7円強の値上げ要因が生じるため、その分をそのまま価格に転嫁すれば、従来100〜130円台だった商品が110〜150円台になる。ビールの価格が税率低下で多少安くなることを考えると、両者の価格差はこれまでより大幅に縮小する。
メーカー各社はこの状況をとらえ、「値上げして第三のビールを続ける」のではなく「麦芽比率を上げてビールに格上げする」という戦略を選んだ。どうせ価格が上がるなら、ビールとして販売した方がブランド価値の向上につながり、消費者に納得してもらいやすいという判断だ。
消費者への影響
2026年10月以降のビール売り場は大きく様変わりする。これまで「節約のために第三のビールを買っていた」消費者の選択肢が変わり、以下のような行動変化が予想される。
- 第三のビールがビールに格上げされた商品をそのまま購入し続ける層(価格差が縮まれば許容しやすい)
- チューハイ・RTD(Ready to Drink)などビール以外の低アルコール飲料に移行する層
- 価格重視から品質重視に切り替え、クラフトビールや輸入ビールにシフトする層
大手シンクタンクの試算では、第三のビールのビール化後も市場全体でのビール類消費量は大きな変動がないとみる向きが多い。ただし「330〜360円台で売られるクラフトビール」との価格差が縮まることで、クラフトビール市場には追い風が吹く可能性がある。
主要ブランドのビール化——金麦・本麒麟・クリアアサヒはどう変わるか
大手4社はすでに2026年10月のビール格上げ計画を公表している。ブランドごとに変更内容を確認しよう。
各ブランドの変更内容
| ブランド | メーカー | 現在の区分 | 2026年10月以降 | 価格変化の見通し | 変更の概要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金麦 | サントリー | 第三のビール | ビール | 350ml缶 200円台前半の見通し(6缶パック想定価格から試算) | 麦芽比率50%以上に変更。2026年10月6日発売。「金麦〈豊潤〉」は10月13日発売 |
| 金麦〈ザ・ラガー〉 | サントリー | 第三のビール | ビール | 同上 | 同上 |
| 金麦〈糖質75%オフ〉 | サントリー | 第三のビール | ビール | 同上 | 糖質オフ設計を維持しながらビール化 |
| 本麒麟 | キリン | 第三のビール | ビール | 350ml缶 想定205円前後(現行約198円+増税分) | 麦芽100%・麦芽比率50%以上に変更。2026年11月4日発売 |
| クリアアサヒ | アサヒ | 第三のビール | ビール | 350ml缶 想定198円前後+数円 | 非熱処理の生ビールとしてリニューアル。2026年10月27日発売 |
| 麦とホップ | サッポロ | 第三のビール | ビール | 未公表 | ビール化を予定 |
| GOLD STAR | サッポロ | 第三のビール | ビール | 未公表 | ビール化を予定 |
各メーカーが強調するのは「既存の風味をなるべく維持する」という点だ。麦芽比率を50%以上に引き上げることで法律上「ビール」になるが、それに伴う味の変化をできるだけ小さく抑えることが技術的なチャレンジとなっている。
特に本麒麟は、現在の「第三のビールの頂点」としての評価を持つだけに、ビール化後の品質への期待と注目が集まっている。キリンは「従来の深いコクを引き継ぎつつ、ビールとしてさらなる品質向上を実現する」という方針を示している。
チューハイ・RTDとの競争が激化
ビール化によって価格が上昇した場合、「同じ予算でもっと安く飲める選択肢」として浮上するのがチューハイなどのRTD(缶チューハイ)だ。RTDの酒税は2026年時点では35円前後(350ml換算)と、ビール類より低い水準が続く。
大手ビールメーカーは、RTD市場でも「-196℃」(サントリー)「ウィルキンソン ハイボール」(アサヒ)などの強力ブランドを持っており、ビール市場縮小をRTDで補完する戦略もすでに展開している。2026年10月以降のビール市場は、「ビール vs チューハイ」という新たな競争局面を迎えることになる。
クラフトビールファンが知っておきたい「第三のビール」の真実
クラフトビールに興味を持つ人の中には、「第三のビールって結局どういう位置づけなのか」という疑問を持つ人も多い。クラフトビールの視点から第三のビールを見直すと、いくつかの重要な論点が浮かび上がる。
第三のビールはクラフトビールの「対極」に位置する
クラフトビールの定義(BrewHub版)は、独立した小規模醸造所が原料・製法・スタイルにこだわって少量生産するビールだ。麦芽・ホップ・水・酵母を中心に、醸造家の個性と技術が凝縮されている。
一方の第三のビールは、本来の意味での「ビールらしさ」を意図的に排除することで税制上のメリットを得た工業的な飲料だ。これはクラフトビールが目指す「個性・品質・多様性」とは真逆の発想から生まれている。クラフトビールファンが第三のビールを「面白くない」と感じるとすれば、それは品質の問題以上に「価値観の違い」によるところが大きい。
発泡酒で販売されるクラフトビールとの混同に注意
日本のクラフトブルワリーの一部は、実験的な原料(ゆず・山椒・酒粕など)を使用するため、酒税法上の「ビール」ではなく「発泡酒」として販売している製品がある。この場合、ラベルには「発泡酒」と表記されていても、実際には麦芽たっぷりの本格的なクラフトビールだ。BrewHubでもクラフトビールと普通のビールの違いで詳しく解説しているが、ラベルの表示区分だけで品質や価値を判断することは避けてほしい。
2026年10月以降のクラフトビール市場への影響
2026年10月の酒税統一は、クラフトビール市場にも間接的な影響を与える。
プラス面:ビール全体の価格が「200円前後のビール」を底値として標準化されれば、300〜400円のクラフトビールとの価格差が縮小する。「どうせ200円出すなら、もう100〜200円足してクラフトビールを楽しもう」という消費者が増える可能性がある。また、ビールへの関心が高まる報道効果も期待できる。
マイナス面:大手ブランドがビールに一斉参入することで「ビール」というカテゴリがさらに細分化され、棚での存在感争いが激しくなる。クラフトビールが店頭で埋没しないための差別化戦略が重要になる。
ビール スタイル 一覧でも解説しているように、クラフトビールの強みは「スタイルの多様性」にある。第三のビールには絶対に作り出せない「IPA・スタウト・ヴァイツェン」といった個性的なスタイルを前面に押し出すことが、2026年以降のクラフトビール市場での生き残り戦略の核になるだろう。
醸造技術の観点から見た第三のビール
クラフトブルワーの視点から言えば、第三のビールの製造に使われる技術そのものを否定すべきではない。大豆ペプチドや麦由来スピリッツを用いて「ビールらしい飲み口」を再現する試みは、ある種の醸造技術の応用だ。「ビールと発泡酒の違い」については、ビールと発泡酒の違いもあわせて参照してほしい。
ただし、クラフトビールが追求するのは「制約の中で最適解を見つける」ことではなく「原料と醸造家の個性を最大限に表現する」ことだ。この根本的な価値観の違いを理解すると、第三のビールとクラフトビールの違いがより鮮明になる。
第三のビールを深く知るための周辺知識
プリン体と健康面での違い
健康を気にするビール愛飲者には「プリン体ゼロ」が重要なキーワードになる。第三のビールにもプリン体ゼロを謳う製品が多数あり、2026年10月のビール化後も各メーカーは同様のコンセプト商品を継続・刷新する予定だ。ビール類とプリン体の関係については、プリン体ゼロビール完全ガイドで詳しく解説している。
プリン体の観点では、第三のビール(大豆原料タイプ)がビール・発泡酒より少ない傾向があるが、アルコール代謝による尿酸値への影響は区分を問わず共通するため、プリン体ゼロだから安心とは言い切れない点に注意が必要だ。
世界市場と日本の独自性
第三のビールという概念は日本固有の産物だ。酒税の高さと、それへの対策として生まれた製品群が形成するカテゴリは、海外にはほとんど類例がない。
日本のビール文化の歴史を振り返ると、1876年の北海道開拓使麦酒醸造所(のちのサッポロビール)に始まり、明治期の廃嫡酒免税から戦後の第二のビール(発泡酒)誕生、そして2003年の第三のビール登場まで、常に「税制と技術のせめぎ合い」が日本のビール産業を形作ってきた。この視点はビール 歴史 日本でも詳細に解説している。
2026年10月の酒税統一は、約20年続いたこの「攻防」の終止符と見ることができる。同時に、日本のビール市場が純粋に「品質」と「多様性」で勝負する新しい時代への入口でもある。
よくある質問(FAQ)
Q1. 第三のビールとビールは味がどれくらい違うのですか?
初期(2003〜2008年頃)は麦らしさが薄く、アルコール感が先立つ独特の風味だったが、現在の本麒麟や金麦は非常にビールに近い仕上がりになっている。ブラインドテストでは多くの人がビールと区別できないという報告もある。ただし麦芽由来の豊かな香りや複雑なコクはビールの方が優れると感じる人が多い。
Q2. 2026年10月以降も「第三のビール」として売られる商品は残りますか?
主要ブランドのほとんどはビールに格上げされるが、酒税法上の「その他の発泡性酒類」というカテゴリ自体が廃止されるわけではない。ただし税率が統一される以上、第三のビールで販売を続ける経済的メリットはほぼなくなるため、事実上の終焉と考えてよい。
Q3. 第三のビールはクラフトビールの一種ですか?
全くの別物だ。クラフトビールは独立した小規模醸造所による少量生産で、原料・醸造法・スタイルにこだわった個性を持つビール(原則として麦芽50%以上)だ。第三のビールは大手メーカーによる大量生産品で、酒税を抑えるための特殊な原料設計が特徴であり、クラフトビールが目指す「多様性・品質・個性」とは対極の存在といえる。
Q4. 金麦がビールになったら値段はいくらになりますか?
サントリーの発表によれば、金麦は2026年10月6日にビールとして発売され、6缶パックの想定価格(税抜880円程度)から試算すると350ml缶あたり150円前後の卸・想定ベース価格になるとみられる一方、コンビニ等の実勢店頭価格は酒税改正前の200円前後からさらに数円程度上がる見通しだ。いずれにせよ、スーパードライや一番搾りの市場価格(220〜260円台)より安い「デイリービール」としての位置づけは維持される見込みだ。
Q5. プリン体ゼロの「第三のビール」はビール化後も続きますか?
各メーカーは2026年10月のビール化にあたっても「糖質オフ」「プリン体ゼロ」ニーズに対応した商品展開を継続する方針だ。ビールでもプリン体を低減した商品は技術的に製造可能であり、既存の「第三のビール」ファンを繋ぎとめるための重要な差別化軸になる見込みだ。
Q6. なぜ「第三のビール」と「新ジャンル」という2つの呼び方があるのですか?
「第三のビール」はビール→発泡酒に続く「第三の選択肢」という意味でメディアが命名した俗称だ。一方「新ジャンル」はメーカー・酒類業界が使う業界用語で、新しい飲料カテゴリを示す。酒税法上の正式分類は「その他の発泡性酒類」または「リキュール(発泡性)」となり、「第三のビール」も「新ジャンル」も法律文書には登場しない。どちらを使っても誤りではないが、消費者向けの文脈では「第三のビール」、業界向け文脈では「新ジャンル」が多く使われる傾向がある。
まとめ——第三のビールの終わりと、ビール市場の新章
第三のビールは、酒税という日本独自の規制環境から生まれた飲料であり、20年以上にわたって多くの日本人の晩酌を支えてきた。その誕生から普及・成熟、そして2026年10月の酒税統一による実質的な終焉まで、この飲料の歩みは日本のビール産業史の重要な一章だ。
本麒麟・金麦・クリアアサヒがビールとして新たなスタートを切る2026年10月以降、日本のビール市場は「価格差による棲み分け」から「品質・個性・多様性による価値競争」へとシフトする。
この変化はクラフトビール市場にとってもチャンスだ。工業的な大量生産品とは一線を画す、醸造家の情熱と技術が詰まった一杯の価値が、消費者により認識されやすい環境が整いつつある。第三のビールの終焉を惜しみながらも、新しいビールの楽しみ方を模索する絶好のタイミングが今ここにある。
クラフトビールのより深い世界に興味が出てきたなら、ビール スタイル 一覧から自分好みのスタイルを探してみてほしい。第三のビールにはない多様な個性が、必ずあなたの「新しいお気に入り」を見つけてくれるだろう。
参考情報
- 2026年10月の酒税法改正!ビールは値上げか値下げか?(よなよなエール公式コラム、350ml換算の税率改正内容)
- ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が一本化|2026年10月からの税率改正と事業者への影響
- キリン、「本麒麟」を新ジャンル→ビールに 10月の酒税改正を受けて(ITmedia、2026年1月15日発表)
- キリン「本麒麟」、ビールに格上げへ サントリー金麦に続く(日本経済新聞)
- アサヒ、「クリアアサヒ」をビールに刷新 10月27日発売(日本経済新聞)
- ビールになった「金麦」、10月6日デビュー(Yahoo!ニュース/オーヴォ)
- サッポロビール公式サイト「第三のビール『ドラフトワン』で新ジャンルを開拓」(原料=エンドウたん白)
- キリンホールディングス酒・飲料の歴史「2003年いわゆる『第3のビール』が登場」(キリン歴史ミュージアム)

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