最終更新: 2026-07-28
2024年、京都を訪れた外国人観光客が初めて1,088万人を突破し、宿泊客数でも外国人が日本人を上回るという記録的な数字を叩き出した(京都市観光協会、2025年6月公表)。世界中から人が集まるこの古都に、いま「外国人醸造家が育てたクラフトビール文化」が静かに花開いている。
「京都でクラフトビールを飲みたいが、観光地として馴染みのあるエリアのどこへ行けばいいかわからない」「醸造所見学ができる場所と、普通に飲めるバーの違いを把握したい」。そんな疑問を持つ方に向けて、このガイドではバー・タップルーム・醸造所の違いを整理しながら、エリア別・シーン別で京都のクラフトビールスポットを網羅的に紹介する。
記事の構成は次のとおりだ。まず京都のクラフトビールシーンの全体像を把握し、次にエリア別おすすめスポットをタップルーム/バー/ビアショップに分類して解説。さらに食との組み合わせ方、持ち帰り・通販の方法、よくある疑問へのQ&Aへと進む。
京都のクラフトビールシーン|外国人醸造家が切り開いた「古都の地ビール」

京都府内のクラフトビール醸造所(マイクロブルワリー)は2023年11月時点で15軒以上を数え、この数年で急速に増えている(CRAFT BEER LAB調べ)。この背景には、2015年に設立された京都醸造(Kyoto Brewing Co.)の存在が大きい。
京都醸造を立ち上げたのは、ウェールズ、アメリカ、カナダ出身の3人の醸造家。日本酒の聖地として世界に知られる京都に惹かれて移住し、ベルギー産酵母とアメリカ産ホップを組み合わせた独自スタイルのビールを醸造し始めた。醸造所は京都市南区西九条高畠町25-1に構え、週末には併設タップルームも開放している。
この「外国人醸造家が国際都市・京都で世界ブレンドのビールを作る」というモデルは、その後に続く醸造家たちに大きな影響を与えた。現在では、京町家を改装したブルワリー、酒蔵の街・伏見を舞台にしたブリューパブ、西陣織の街に根ざしたコミュニティ型醸造所など、京都ならではのストーリーを持つビールが次々と生まれている。
| 指標 | データ | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年外国人観光客数 | 1,088万人(前年比53%増・過去最高) | 京都市観光協会、2025年6月 |
| 2024年外国人宿泊客数 | 821万人(初めて日本人を上回る) | 京都市観光協会、2025年6月 |
| 府内マイクロブルワリー数 | 15軒以上(2023年11月時点) | CRAFT BEER LAB |
| 京都醸造設立年 | 2015年 | 京都醸造公式 |
こうした数字が示すとおり、京都のクラフトビールシーンは国際的な観光需要とも連動している。英語対応スタッフを配置するタップルームや、多言語メニューを用意するバーも増え、インバウンド観光客とクラフトビールの親和性が高まっている。
京都のクラフトビール醸造所タップルーム|造り手と距離ゼロで楽しむ
タップルームとは、醸造所に併設された飲食スペースのこと。搾りたてのビールを最も新鮮な状態で飲めるのが最大の魅力だ。ただし、営業日が週末限定の場所も多いため、事前確認が必須。
京都醸造(Kyoto Brewing Co.)
ウェールズ、アメリカ、カナダ出身の3人が2015年に設立した、京都クラフトビールシーンの先駆者。ベルギー産酵母が生み出すフルーティな香りと、アメリカ産ホップのドライな苦みを融合させた「ベルジャン&アメリカン」スタイルが特徴。代表銘柄の「一期一会」はホワイトエールをベースにパッションフルーツを加えた定番で、常連ファンも多い。タップルームは土曜・日曜を中心に開放している。
- 住所: 京都市南区西九条高畠町25-1
- アクセス: 近鉄京都線「東寺駅」徒歩10分
- タップルーム: 土日営業(要公式サイト確認)
西陣麦酒(NISHIJIN BEER)
築140年の京町家をリノベーションしたブリューパブ。かつて西陣織の関連施設として使われた建物に、現代的な醸造設備を組み込んでいる。タップルームは金曜・土曜限定で営業し、常時5種類のオリジナルクラフトビールと最大8種類の瓶ビールを提供。夜の照明が映える町家の雰囲気は、訪れる人を100年以上前の京都へと引き込む。西陣エリアの観光と組み合わせやすいロケーションだ。
- 住所: 京都市上京区(西陣エリア)
- 営業: 金・土曜を中心に開放
WOODMILL BREWERY KYOTO(ウッドミルブルワリー・京都)
京友禅染にかかわる事業を営んでいた京都生まれ・京都育ちの辻本氏が立ち上げたブルワリー。「食の街 京都の料理を引き立てるビール」を醸造コンセプトに掲げており、ビールと京料理の相性を意識した仕上がりが特徴だ。名前の「WOODMILL」は醸造所の地名「挽木町」(挽く=ミル、ウッド=木)に由来する。人気No.1はフルーティな「はっさくホワイト」で、初心者にも飲みやすい。タップルームは金・土・日に営業し、樽生ビール5種類と数量限定のおつまみを提供している。
- 住所: 京都市下京区(挽木町周辺)
- 営業: 金・土・日(要公式サイト確認)
西陣クラフトビールタウン
西陣エリアには「西陣 CRAFT BEER TOWN」という独自のコミュニティが形成されており、4つのクラフトビール醸造所と老舗酒店が連携して地域ぐるみでビール文化を発信している。各醸造所が個別のビアスタイルを持ちながら、イベントや相互紹介を通じて訪れる人を「西陣クラフトビール巡り」へと誘う仕組みが整っている。京都に来たら醸造所を一軒だけ訪れるのではなく、このエリアを半日かけてハシゴするという楽しみ方が広がっている。
家守堂(やもりどう)
伏見区中油掛町108に位置する、150年以上前に建てられた元日本茶専門店をリノベーションしたブリューパブ。「古いを楽しみ、新しいを作る場所」というコンセプトを体現しており、伏見の名水を使ったクラフトビールを醸造・提供している。日本酒の街・伏見で”クラフトビール”という新しい選択肢を提示した先駆け的存在で、地元客だけでなく外国人観光客にも人気が高い。京都のクラフトビール醸造所の詳細は「京都のクラフトビール醸造所おすすめ10選」もあわせて参照されたい。
京都のクラフトビールバー|観光の途中に立ち寄れるスポット
醸造所タップルームと異なり、バーは国内外の多様なクラフトビールを曜日・時間を気にせず楽しめる。京都には、旅行者が観光のついでに立ち寄りやすいバーが複数ある。
KYOTO BEER LAB(京都ビアラボ)
七条・木屋町エリアに位置するブリューパブで、京都を中心とした国内外のクラフトビールを豊富に取り揃える。木屋町通り沿いという繁華街の立地ながら、落ち着いた空間でビールに向き合えるのが特徴。スタッフがビールのスタイルやペアリングについて詳しく説明してくれるため、クラフトビール初心者でも安心して訪れることができる。河原町周辺の観光を楽しんだ後の締めくくりとして最適なロケーションだ。
クラフトビアマーケット(京都ポルタ店)
京都駅直結の京都ポルタ内にある、国内外の樽生クラフトビールを30種類以上取り揃えるビアバー。駅ビル内という利便性の高さが際立ち、帰路の新幹線を待つ間や旅行の最後の一杯に利用する観光客も多い。プロのサーバーが丁寧に注いでくれるビールと、ピッツァ・パスタを中心としたイタリアンフードとの相性が抜群。京都に着いたらまずここで一杯、という使い方もおすすめだ。
クラフトビール&京都イタリアン 100K
京都駅前エリアで「クラフトビール×京都イタリアン」を掲げるカジュアルなビアバー。厳選されたクラフトビールとともに、地元の食材を活かしたイタリアン料理を楽しめる。京都駅からのアクセスが良いため、旅行者が初日の夜に立ち寄るのに適している。
裏木屋町のクラフトビール専門店
裏木屋町エリア(木屋町通りの西側の路地)には、国内外のクラフトビール120種類以上を常備し、クラフトビール飲み放題もリーズナブルな価格で提供するクラフトビール専門店が存在する。価格帯が手頃で、旅行中に気軽に多種のビールを試したい人向けのスポットだ。
エリア別ガイド|京都クラフトビール地図
京都のクラフトビールスポットは大まかに3つのエリアに分類できる。
| エリア | 代表スポット | 特徴 | 向いているシーン |
|---|---|---|---|
| 京都駅・七条周辺 | クラフトビアマーケット、100K、KYOTO BEER LAB | 駅近で旅行者向け。醸造所タップルームも隣接 | 着いたばかりの一杯、帰りの新幹線前 |
| 木屋町・河原町・先斗町 | 裏木屋町のクラフトビール専門店、ビアバー多数 | 繁華街。食事と合わせやすい多国籍エリア | 夜のはしご酒、食事後の一杯 |
| 西陣エリア | 西陣麦酒、西陣クラフトビールタウン各醸造所 | 京町家×醸造所。昼間の町歩きと相性よし | ハシゴ酒、週末の文化体験 |
| 伏見エリア | 家守堂、キザクラカッパカントリー | 日本酒の名水×クラフトビール。酒蔵観光と組み合わせ可 | 半日散策、酒文化めぐり |
| 南区(東寺周辺) | 京都醸造タップルーム | 本格的なベルジャン&アメリカンスタイル | 週末のビール目的訪問 |
京都のクラフトビール体験を最大化するコツは、エリアを1つに絞ってその周辺を深掘りすることだ。例えば西陣エリアなら、午前中に西陣織会館を見学し、昼過ぎから西陣クラフトビールタウンを巡る、という半日コースが組みやすい。
京都クラフトビールと食のペアリング|地産地消の視点で選ぶ
京都は豆腐、湯葉、漬物、抹茶スイーツなど食材の宝庫でもある。クラフトビールと京都の食を組み合わせると、ビールの風味がより際立つ。以下に代表的な組み合わせを示す。
| 京都の食材・料理 | 合うビアスタイル | 理由 |
|---|---|---|
| 湯豆腐・白和え | ホワイトエール、セゾン | 繊細なダシの風味を壊さないフルーティな香り |
| 西京漬け(鮭・白みそ漬け) | ゴールデンエール、ペールエール | 甘みのある白みそに甘さ控えめのホップが調和 |
| 賀茂なすの田楽 | スタウト、ポーター | みそ×焦げ感のロースト系ビールが相乗効果 |
| おばんざい盛り合わせ | サワーエール、セゾン | 酸味が野菜の旨みを引き立てる |
| 生麩・わらび餅 | ヘフェヴァイツェン、ベルジャンホワイト | デンプン系スイーツにクローブ香が合う |
| ラーメン(新福菜館系の濃口醤油) | IPA、アメリカンペールエール | 濃い醤油×ホップの苦みがコントラストを形成 |
WOODMILL BREWERY KYOTOは「食の街 京都の料理を引き立てるビール」を醸造コンセプトに掲げており、「はっさくホワイト」は京野菜の料理と合わせることを意識した設計になっている。このようにペアリングを考えながらビールを選ぶのも、京都クラフトビールならではの楽しみ方だ。
クラフトビールの楽しみ方全般については、クラフトビール初心者ガイドも参考になる。また、今夏おすすめのクラフトビールについては夏のクラフトビールおすすめでも紹介している。
京都クラフトビールの持ち帰り・通販
旅行中に気に入ったビールを自宅でも楽しみたいなら、以下の方法がある。
多くの京都の醸造所タップルームでは、当日飲むだけでなくボトルやキャン購入にも対応している。京都醸造・WOODMILL BREWERY KYOTOともに物販コーナーを設けており、気に入った銘柄を手土産として持ち帰ることが可能だ。
また、クラフトビール専門の通販サービスを活用すれば、京都の醸造所のビールを自宅まで取り寄せることもできる。クラフトビールの通販についてはクラフトビール通販おすすめガイドで詳しく解説しているので、あわせて参照してほしい。
なお、クラフトビールはデリケートな飲み物であるため、持ち帰りの際は直射日光を避け、できるだけ早めに消費することが推奨される。保存方法の詳細はクラフトビールの保存方法を確認されたい。
醸造所見学・ブルワリーツアーで「作る現場」を体験する
飲むだけでなく、ビールが作られる現場を見学するのも京都クラフトビール体験の醍醐味の1つだ。一部の醸造所では見学ツアーや仕込み体験を提供している。予約制の場合が多いため、訪問前に各醸造所の公式サイトで確認することを勧める。
醸造所見学で特に楽しいのは、搾りたての「ヤング(未熟成)」ビールを試飲できる機会だ。通常の流通品では味わえない瞬間的なフレーバーを体験できる。ブルワリー見学全般については、醸造所見学・体験ガイドで詳しく解説しているので、旅行の計画に役立ててほしい。
よくある質問(FAQ)
Q1. 京都でクラフトビールが飲めるのはどのエリアですか?
A. 京都駅周辺(ポルタ・七条)、木屋町・河原町エリア、西陣エリア、伏見エリア、南区(東寺付近)の5エリアが主な拠点です。旅行スケジュールに合わせてエリアを選ぶとスムーズです。
Q2. 醸造所タップルームとビアバーの違いは何ですか?
A. タップルームは醸造所に併設されており、そこで作られたビールのみを提供します。ビアバーは国内外の多様なブランドを取り揃えており、比較しながら飲みたい場合に向いています。京都には両方が充実しているため、訪問目的に応じて使い分けるのがおすすめです。
Q3. 京都醸造(Kyoto Brewing Co.)とはどんな醸造所ですか?
A. 2015年に設立された、ウェールズ・アメリカ・カナダ出身の3人の醸造家によるブルワリーです。ベルギー産酵母とアメリカ産ホップを組み合わせた独自スタイルのビールを醸造しており、京都市南区西九条高畠町25-1に拠点を構えています。タップルームは週末を中心に開放しています。
Q4. 西陣クラフトビールタウンとは何ですか?
A. 西陣エリアで4つのクラフトビール醸造所と老舗酒店が連携し、地域ぐるみでビール文化を発信するコミュニティプロジェクトです。各醸造所が異なるビアスタイルを得意とし、週末の半日でハシゴ飲みができるルートが整備されています。
Q5. 観光のついでに気軽に立ち寄れるおすすめスポットはどこですか?
A. 京都駅直結の「クラフトビアマーケット(京都ポルタ店)」が最も手軽です。新幹線利用者は帰路の直前にも立ち寄れます。また木屋町・河原町エリアなら夜の観光と組み合わせやすく、バーが多数集まっているため選択肢が豊富です。
Q6. 英語対応のクラフトビールバーはありますか?
A. 京都醸造のタップルームは3カ国出身の醸造家が立ち上げただけあり、英語での対応に慣れたスタッフが在籍します。また、外国人観光客が多い京都全体として、英語メニューを用意する店が増えています。クラフトビアマーケットなど駅近の店舗も英語対応が充実しています。
Q7. ビールの持ち帰り(お土産)はできますか?
A. 京都醸造、WOODMILL BREWERY KYOTOなどの醸造所タップルームでは、瓶・缶のビールを物販コーナーで購入できます。割れないよう緩衝材で包んでくれる場合もあるため、スタッフに確認してみましょう。
関連記事: クラフトビール 埼玉 完全ガイド|農業王国が生んだクラフトビール大国の全貌とエリア別必訪ブルワリー【2026年版】
まとめ|京都のクラフトビールは「出会い」そのもの
外国人観光客1,088万人が訪れる国際都市・京都では、世界各地から醸造家や職人が集まり、文化の交差点ならではのクラフトビールが生まれている。ベルギー×アメリカのスタイルを持ち込んだ京都醸造、食との調和を極める WOODMILL BREWERY、京町家に宿る西陣麦酒——それぞれが京都の文化を醸している。
京都旅行の際には、寺社仏閣や料理と並んで「クラフトビール体験」をプランに組み込んでみてほしい。醸造所タップルームで作り手と言葉を交わしながら飲む一杯は、旅の記憶をより豊かにしてくれるはずだ。
京都のクラフトビール醸造所のより詳しい情報(住所・営業時間・アクセス)は、京都のクラフトビール醸造所おすすめ10選で確認できる。
参考情報
- 京都市観光協会「2024年観光動向調査」(2025年6月公表):外国人観光客1,088万人、外国人宿泊客821万人、観光消費額2兆581億円
- CRAFT BEER LAB「京都府クラフトビール醸造所一覧」(2023年11月時点):府内マイクロブルワリー15軒以上
- 京都醸造株式会社(Kyoto Brewing Co.)公式ウェブサイト:https://kyotobrewing.com
- 西陣 CRAFT BEER TOWN 公式ウェブサイト:https://nishijin-craft-beer-town.com
- WOODMILL BREWERY KYOTO 公式ウェブサイト:https://woodmill-brewery.kyoto


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