最終更新: 2026-09-11
米国のクラフトビール小売市場だけで280億ドル、日本円換算で約4.2兆円規模に達する(Brewers Association「2025年統計」)。日本の醸造所からも海外のビアフェスに出品するケースが増えている。それなのに「IPA」以外のスタイル名を英語で言えない、注文で固まってしまう、という声を編集部はよく耳にする。「Sour」と「Session」の違いを英語で説明できますか。この記事では、旅行者がバーで困らない注文フレーズから、ビアスタイルの正しい英語名、そして海外の醸造所で働く際に必要な実務用語まで、3段階に分けて70語超をまとめて解説する。まずは基本の注文表現から、次にスタイル名と味の形容詞、最後に醸造・キャリア用語という順に読み進めてほしい。
ビール英語とは?日本語の「用語」との違い

「ビール英語」と一口に言っても、指している範囲は人によって異なる。海外旅行でバーに入ったときに困らない「注文フレーズ」もあれば、ビアスタイルを正確に伝える「スタイル名の英語」、さらに海外の醸造所やビアフェスで働くために必要な「業界用語としての英語」もある。この記事ではこの3つを区別して整理する。
| レベル | 想定シーン | 必要な語彙量の目安 |
|---|---|---|
| 旅行者レベル | 海外のパブ・バーでビールを1杯注文する | フレーズ10〜15個 |
| 愛好家レベル | 海外のタップルームでスタイルや味の好みを伝える | スタイル名20〜30語+形容詞10語 |
| 実務レベル | 海外の醸造所・ビアフェスで働く、輸入業務に関わる | 醸造工程用語20語+ビジネス表現 |
なお、クラフトビールの専門用語を日本語で網羅的に押さえたい場合は、当サイトのクラフトビール用語集もあわせて参照してほしい。この記事はその英語版という位置づけになる。
海外のバーで使える注文フレーズ集

まずは旅行や出張で海外のパブ・タップルームに入ったときに、その場で使える基本フレーズから紹介する。
| 場面 | 英語フレーズ | 意味 |
|---|---|---|
| メニューを聞く | What do you have on tap? | 生ビールは何がありますか |
| 地ビールを聞く | Do you have any local beer? | 地元のビールはありますか |
| おすすめを聞く | What would you recommend? | おすすめは何ですか |
| 味の好みを伝える | I like something hoppy and bitter. | ホップが効いた苦めのものが好きです |
| 軽めを希望 | Something light and easy-drinking, please. | 軽くて飲みやすいものをお願いします |
| サイズを指定 | Can I get a pint of that, please? | それをパイントでください |
| 試飲を頼む | Can I get a flight to try a few? | 数種類試せるフライトをもらえますか |
| おかわり | Same again, please. | 同じものをもう一杯ください |
| 会計 | Can I have the check, please? | お会計をお願いします |
| 乾杯 | Cheers! | 乾杯 |
容量の単位にも注意したい。「pint」はイギリスでは568ml、アメリカでは473mlと国によって量が異なる。「half pint」(ハーフパイント)を選べる店も多いので、まず軽めに試したい場合はこちらを使うとよい。
ビアスタイルの英語名と味を表す形容詞

日本語では「IPA」「スタウト」とカタカナ読みしているものも、英語の発音やスペルを正確に押さえておくと海外のメニューで迷わない。
| 日本語表記 | 英語表記 | 発音のポイント |
|---|---|---|
| アイピーエー | IPA (India Pale Ale) | 頭文字読みでよい。フルスペルで言う場面は少ない |
| ペールエール | Pale Ale | 「ペイル」に近い発音 |
| スタウト | Stout | 語尾のtをはっきり発音 |
| ポーター | Porter | ポータ、語尾を伸ばさない |
| ピルスナー | Pilsner(Pils) | 短縮形Pilsもよく使われる |
| ヴァイツェン | Wheat Beer / Hefeweizen | 英語圏ではWheat Beerが通じやすい |
| サワーエール | Sour Ale | Sourだけでも通じる |
| セゾン | Saison | フランス語由来、サイゾンに近い発音 |
| ラガー | Lager | 下面発酵ビール全般を指す総称 |
| ヘイジーIPA | Hazy IPA / NEIPA | New England IPAの略でNEIPAとも呼ばれる |
味の表現も、日本語の「フルーティー」「苦い」をそのまま直訳すると伝わりにくい場合がある。
| 日本語の感覚 | 英語の形容詞 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 苦い | Bitter / Hoppy | Hoppyはホップ由来の苦味・香りを指す |
| 香りが強い | Aromatic | 主に柑橘やトロピカルな香りに使う |
| 濃厚・重い | Full-bodied | 飲みごたえのある口当たり |
| すっきり | Crisp / Clean | 後味が軽く爽快 |
| 酸味がある | Tart / Sour | Tartは軽い酸味、Sourは強い酸味 |
| 甘い | Malty / Sweet | Maltyは麦芽由来の甘さのニュアンス |
| 炭酸が強い | Carbonated / Fizzy | Fizzyはカジュアルな口語表現 |
| ロースト香 | Roasty | 黒ビール系でよく使われる |
海外の醸造所・ビアフェスで働くための実務英語
編集部が海外のブルワリー関係者に取材した際、旅行英語だけでは仕込み作業の指示や品質管理の会話についていけない、という声を複数聞いた。将来的に海外での醸造修行やビアフェス出展を考えている人向けに、現場でよく使われる実務用語を整理する。
| 分類 | 英語 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| 醸造工程 | Mash / Mashing | 糖化(麦芽を湯に浸して糖分を抽出する工程) |
| 醸造工程 | Wort | 麦汁(発酵前の糖分を含む液体) |
| 醸造工程 | Pitch (yeast) | 酵母を投入する |
| 醸造工程 | Fermentation | 発酵 |
| 醸造工程 | Dry Hopping | ドライホッピング(発酵後にホップを追加する工程) |
| 醸造工程 | Racking | 別のタンクへ液体を移す作業 |
| 品質管理 | Gravity (OG/FG) | 比重(Original Gravity/Final Gravity) |
| 品質管理 | ABV | アルコール度数 |
| 品質管理 | IBU | 国際苦味単位 |
| 設備 | Kettle | 煮沸釜 |
| 設備 | Fermenter / Fermentation Tank | 発酵タンク |
| 設備 | Keg | 樽(生ビール用の金属容器) |
| ビジネス | Taproom Manager | タップルーム責任者 |
| ビジネス | Distribution | 卸流通 |
| ビジネス | Self-distribution | 醸造所が自ら小売店に卸す仕組み(米国では州により規制あり) |
海外の醸造所で研修を受ける、あるいは正式に就業する場合、多くの求人サイトでは「Cellarman」「Assistant Brewer」「Head Brewer」といった職種名で募集が出る。応募前にこれらの職種名と業務範囲を英語で理解しておくと、面接での意思疎通がスムーズになる。
ビール英語を身につける実践的な学習法
単語を暗記するだけでは、実際のバーや醸造所の会話にはなかなかつながらない。効率よく身につけるための3つのアプローチを紹介する。
まず、海外の醸造所が公式サイトで公開しているテイスティングノートを読む習慣をつけるとよい。多くのブルワリーは各ビールのページに「Tasting Notes」として味の特徴を英語で数行にまとめており、実際に使われている形容詞の組み合わせを生きた形で学べる。日本語でのビールテイスティングの基本手順を先に押さえておくと、英語の表現と結びつけやすくなる。
次に、国内で開催される国際色のあるビアフェスに参加し、海外出展ブースのスタッフに英語で話しかけてみるのも実践的だ。日本国内でも横浜・大阪などで海外ブルワリーが出展するイベントが定期的に開催されており、実際に注文フレーズを試す場として活用できる。
最後に、英語のビアスタイルガイドラインに目を通しておくことをおすすめする。BJCP(Beer Judge Certification Program)のスタイルガイドラインは無料で公開されており、各スタイルの説明が英語の定型表現で書かれているため、業界標準の言い回しを効率よく吸収できる。
ビール英語に関するよくある質問
Q1. 「クラフトビール」は英語でそのまま通じますか?
通じる。「Craft Beer」は英語圏でも一般的な呼称で、大手メーカーの量産ビールと対比する概念として定着している。「Microbrew」という呼び方をする人もいるが、近年はCraft Beerの方が主流だ。
Q2. 「生ビール」は英語で何と言えばいいですか?
「Draft Beer」または「Beer on Tap」と表現する。「What do you have on tap?」(生ビールは何がありますか)はバーで最もよく使われるフレーズのひとつだ。
Q3. IPAとスタウトの違いを英語で説明するにはどう言えばいいですか?
「IPA is hoppy and bitter, while stout is roasty and full-bodied.」(IPAはホップが効いて苦く、スタウトはロースト香があって飲みごたえがある)のように、味の形容詞を対比させると簡潔に伝わる。
Q4. 「Session Beer」とはどういう意味ですか?
アルコール度数を抑えて何杯も飲み続けられるように設計されたビールを指す。目安はABV5%以下とされることが多く、長時間の飲酒(セッション)を楽しむための概念だ。
Q5. 海外の醸造所で働くのに英語力はどの程度必要ですか?
日常会話レベルに加えて、醸造工程や品質管理の専門用語を理解できる語彙力が求められる。安全確認や衛生管理の指示は正確に理解する必要があるため、現場では基本的な業務英語の習熟が前提になる。
Q6. 「Sour」と「Tart」はどう使い分けますか?
「Tart」は軽い爽やかな酸味を、「Sour」はより強い酸味を表すことが多い。ゴーゼやベルジャンランビックのような強い酸味のスタイルにはSour、軽い酸味のビールにはTartが使われる傾向がある。
Q7. 「Nose」や「Palate」といった単語もビールの説明で使われますか?
使われる。ワインのテイスティング用語がクラフトビールにも転用されており、「Nose」は香り、「Palate」は口に含んだときの味わいを指す。海外の醸造所のテイスティングノートで頻出する表現だ。
まとめ:ビール英語は3段階で押さえるのが近道
ビール英語は、目的に応じて必要な語彙が異なる。
- 旅行者レベルなら、まず本記事の注文フレーズ10個を覚えるだけでバーでの会話は十分にこなせる
- 愛好家レベルなら、ビアスタイル名と味を表す形容詞をセットで覚えると、海外のタップルームで好みを的確に伝えられる
- 海外での醸造修行やビアフェス出展を目指すなら、醸造工程・品質管理用語を業務レベルで理解しておく必要がある
まずは注文フレーズから覚え、慣れてきたらスタイル名、最後に実務用語という順で語彙を広げていくのが遠回りに見えて一番の近道だ。ビアスタイルそのものをもっと深く知りたい方は、ペールエールとIPAの違いもあわせて読んでほしい。海外のクラフトビール事情に興味がある方は、海外クラフトビールランキングや日本クラフトビールの世界的評価も参考になる。
この記事はBrewHub編集部が執筆しました。BrewHubはクラフトビールに特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。
参考情報
- Brewers Association「2025年 米国クラフトビール産業統計」(小売市場規模280億ドル、2025年時点)
- BJCP(Beer Judge Certification Program)「2021 Style Guidelines」(ビアスタイル分類・公式定義)
- DMM英会話ブログ「ビール好きのための英語フレーズ&単語集」
- QQ Englishブログ「ビールを英語で注文するには?」
- Kimini英会話「クラフトビール専門店店員|お役立ち英単語とロールプレイング」

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