最終更新: 2026-09-14
2026年8月25日、イタリアンプレミアムビール「ペローニ ナストロアズーロ」の缶350mlがついに通年販売入りしました。前年2025年には9月と12月に数量限定で販売され、その好評ぶりが通年化を後押ししたといいます。「イタリアのビールなのに、なぜアサヒビールが売っているのだろう」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。実はペローニは1846年創業という、イタリアでも屈指の歴史を持つブランドでありながら、2016年にアサヒグループホールディングスの傘下に入るという大きな転換点を経験しています。この記事では、ペローニの180年にわたる歴史、ビールとしての特徴・原材料・度数、そしてなぜ日本のビール会社が買収するに至ったのかという経営面のドラマまでを、クラフトビール専門メディアの視点から整理します。まずは基本情報から見ていきましょう。
ペローニとは?基本情報を整理

ペローニ(Peroni)は、イタリア・ロンバルディア州ヴィジェヴァノで1846年にフランチェスコ・ペローニ氏が創業したビールブランドです。現在の主力商品は1963年に発売された「ペローニ ナストロアズーロ(Peroni Nastro Azzurro)」で、イタリア国内はもちろん世界各国で飲まれているプレミアムラガーです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド名 | ペローニ(Birra Peroni/Peroni Nastro Azzurro) |
| 創業 | 1846年、イタリア・ヴィジェヴァノ |
| 創業者 | フランチェスコ・ペローニ |
| 主力商品 | ペローニ ナストロアズーロ(1963年発売) |
| ビアスタイル | イタリアン・プレミアムラガー |
| アルコール度数 | 5% |
| 現在の親会社 | アサヒグループホールディングス(2016年〜) |
| 日本国内の取り扱い | アサヒビール株式会社 |
「ナストロアズーロ」とはイタリア語で「青いリボン」を意味します。これは、かつて大西洋横断の最速記録を樹立した客船に贈られた栄誉「ブルーリボン(Nastro Azzurro)」にちなんで名付けられたとされ、海や自然、アウトドアとの結びつきを表現したネーミングです。ラベルの青いリボンのデザインも、この由来を象徴しています。
ペローニの歴史:1846年創業から180年の歩み

ペローニの歴史は、単なる一企業の沿革にとどまらず、イタリアのビール産業そのものの発展史と重なります。時系列で整理すると、以下のようになります。
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 1846年 | フランチェスコ・ペローニがヴィジェヴァノで小さな醸造所を創業 |
| 1864年 | 事業拡大に伴いローマに新工場を建設(ローマが首都になる1870年より前) |
| 1901年 | 2代目ジョヴァンニ・ペローニの時代にローマ市内で工場を増築、南部バーリ・ナポリにも拠点を拡大 |
| 1963年 | 創業家3代目カルロ・ペローニが「ナストロアズーロ」を開発・発売 |
| 2003年 | 南アフリカのSAB(サウス・アフリカン・ブリュワリーズ)に買収される |
| 2016年10月 | アンハイザー・ブッシュ・インベブによるSABミラー買収の独占禁止法対応として、アサヒグループホールディングスへ売却 |
| 2025年9月・12月 | 缶350mlを日本国内で数量限定発売 |
| 2026年8月25日 | 缶350mlの通年販売を国内で開始 |
創業から170年以上にわたりイタリア国内で独立系ブランドとして成長してきたペローニですが、2000年代以降は国際的なビール業界再編の波に巻き込まれていきます。2003年に南アフリカのSABに買収された後、SABはミラー・ブリューイングと統合してSABミラーとなりました。そして2016年、世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)がSABミラーを買収する際、欧州競争当局の独占禁止審査をクリアするために西欧事業の一部を手放す必要が生じ、その受け皿となったのがアサヒグループホールディングスでした。
なぜアサヒがペローニを買収したのか
「なぜ日本のビール会社がイタリアの老舗ブランドを持っているのか」という疑問は、多くの読者が抱くポイントです。ここには単純な企業買収以上の、業界再編のドラマがあります。
2016年、アサヒグループホールディングスは旧SABミラーから西欧のプレミアムビール事業(ペローニ、オランダの「グロールシュ」、英国のクラフトブルワリー「ミーンタイム」などを含む)を約3,000億円で取得しました。その翌2017年には、AB InBevから中東欧のビール事業も約9,000億円で追加取得しており、2度の取得を合わせると総額は1兆円を超える規模になります。これは国内飲料市場の縮小を見据えたアサヒグループの海外展開戦略の一環であり、単一ブランドの買収というより「プレミアムビール群をポートフォリオごと取得する」大型再編の一部でした。
編集部が業界関係者への取材で聞いた話では、こうした欧州ブランドの買収は「スーパードライ」を中心とした国内ブランドだけでは頭打ちになりつつあった海外売上比率を一気に引き上げる目的があったとのことです。実際、アサヒグループの海外売上比率はこの買収以降、大きく上昇しています。ペローニは単に「輸入ビールの一つ」ではなく、日本のビール会社が推進する国際化戦略の象徴的な存在といえるでしょう。
原材料・製法・味わいの特徴
ペローニ ナストロアズーロの味わいの特徴は、原材料の組み合わせに由来します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主原料 | 大麦麦芽(春植えの二条大麦) |
| 副原料 | ノストラーノ・デリソラ種のコーン(イタリア産とうもろこし) |
| ホップ | ザーツ種・ハラタウマグナム種など複数のホップを使用 |
| 色 | 淡いゴールド |
| 苦味・香り | バランスの取れた苦味とかんきつ系のほのかな香り |
| 飲み口 | キレがよくすっきりとした後味 |
大麦麦芽に加えてとうもろこしを副原料として使うのは、イタリアやアメリカの大手ラガーによく見られる製法で、ドイツの「ビール純粋令」(大麦・ホップ・水・酵母のみを原料とする伝統的な製法)とは異なるアプローチです。この違いについては、ドイツのビール完全ガイドでドイツ流の醸造哲学を詳しく解説していますので、あわせて読むとイタリアとドイツのビール文化の対比がよくわかります。
編集部でペローニを試飲した際に感じたのは、いわゆる日本の大手ラガーと比べてとうもろこし由来のほのかな甘みが感じられる一方、後味は驚くほどドライでキレがあるという点でした。国内の口コミサイトでも「スーパードライより軽やかで、食事と合わせやすい」という声が多く見られます。ラガーの分類やピルスナーとの違いが気になる方は、ピルスナーとラガーの違いとは?も参考にしてください。
日本での販売状況:どこで飲める・買える?
日本国内では、アサヒビールが樽生・瓶・缶の3形態でペローニを展開しています。
| 販売形態 | 状況 |
|---|---|
| 樽生 | 国内の飲食店約7,500店舗で提供(2025年8月時点) |
| 瓶(300ml) | 通年販売 |
| 缶(350ml) | 2025年9月・12月に数量限定発売 → 2026年8月25日から通年販売 |
| 想定価格 | 缶350mlで1本あたり280円前後 |
缶の通年販売開始に合わせて、東京・隅田川を周遊する体験イベント「THE HOUSE OF PERONI 2026 東京アペリティーボクルーズ」も開催されました。これはイタリアの食前酒文化「アペリティーボ」をテーマにしたプロモーションで、軽い食事と一緒にペローニを楽しむ飲み方を提案する内容です。イタリアでは夕食前の時間に軽食とアルコールを楽しむ「アペリティーボ」の習慣が根付いており、ペローニもこの文化とセットで語られることが多いビールです。
おいしい飲み方・食事とのペアリング
ペローニはすっきりとした後味が特徴のため、脂の多い料理や塩気のある料理との相性が良いとされています。
| 料理カテゴリ | 相性の理由 |
|---|---|
| ピザ・パスタ | イタリア料理との親和性が高く、トマトソースの酸味とキレの良さが合う |
| 揚げ物・フリット | 苦味と炭酸のキレが油分をリセットする |
| 生ハム・チーズの盛り合わせ | アペリティーボの定番。塩気とラガーの爽快感がマッチ |
| 刺身・寿司 | かんきつ系の香りが魚の脂と調和しやすい |
グラスは細長いピルスナーグラスや、ペローニ独自のロゴ入りグラスを使うと、炭酸の泡立ちと香りをより楽しめます。おつまみ選びに迷ったら、クラフトビールに合うおつまみガイドも参考になります。
他の海外ビールとの違い比較
「結局、ペローニは他の海外ビールと何が違うのか」を整理すると、以下のようになります。
| ブランド | 生産国 | 主なスタイル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ペローニ | イタリア | プレミアムラガー | とうもろこし使用、かんきつ系の軽やかな香り |
| ギネス | アイルランド | スタウト | 黒く濃厚、窒素注入によるクリーミーな泡 |
| ドイツビール(各種) | ドイツ | ピルスナー・ヴァイツェンほか | ビール純粋令に基づく伝統製法 |
| チェコビール(各種) | チェコ | ピルスナー | ピルスナー発祥国、1人当たり消費量世界一 |
アイルランドの黒ビールについて詳しく知りたい方はギネスビールとは?、ピルスナー発祥国の事情についてはチェコビールとは?もあわせてご覧ください。それぞれの国の醸造文化を比較すると、同じ「ラガー」というカテゴリの中でも、原材料や飲用文化によって驚くほど個性が異なることが見えてきます。
日本のビール史とアサヒの立ち位置についてさらに深掘りしたい場合は、日本ビール完全ガイドで明治期からのクラフトビール革命までの流れを解説していますので、こちらも参考にしてください。
ペローニに関するよくある質問
Q1: ペローニはクラフトビールですか?
厳密には「クラフトビール」ではなく、大手資本(現在はアサヒグループ)が所有する大量生産のプレミアムラガーです。ただし、原材料や製法にこだわりを持つブランドとして、クラフトビール愛好家からも一定の評価を得ています。
Q2: ペローニのアルコール度数はどのくらいですか?
主力商品のペローニ ナストロアズーロはアルコール度数5%です。一般的なピルスナーやラガーと同程度の度数です。
Q3: ペローニはどこで買えますか?
国内では酒販店やスーパー、通販サイト(楽天市場など)で瓶・缶が購入できるほか、イタリアンレストランやバーなど約7,500店舗(2025年8月時点)で樽生を提供しています。
Q4: なぜイタリアのビールなのにアサヒが販売しているのですか?
2016年、アンハイザー・ブッシュ・インベブによるSABミラー買収に伴う独占禁止法対応として、ペローニを含む西欧のプレミアムビール事業がアサヒグループホールディングスに売却されたためです。
Q5: ペローニと日本の大手ラガーは何が違いますか?
大きな違いは原材料です。ペローニはノストラーノ・デリソラ種のとうもろこしを副原料に使うことで、ほのかな甘みとかんきつ系の香りを実現しています。後味のキレが強い点は日本の大手ラガーと似ていますが、香りの系統が異なります。
Q6: ペローニの缶はいつから通年で買えるようになりましたか?
2026年8月25日から、缶350mlの通年販売が国内で開始されました。それまでは2025年9月・12月に数量限定で発売されていました。
関連記事: シンハービールとは?タイ王室公認の獅子マーク、歴史・度数・ペアリングを解説
関連記事: キリングッドエールとは?発売日・価格・味わい・製法を解説
まとめ:ペローニのポイント
- ペローニは1846年にイタリア・ヴィジェヴァノで創業した老舗ビールブランドで、主力商品「ナストロアズーロ」は1963年発売
- 2003年にSAB、その後2016年にアサヒグループホールディングスへと所有者が移り変わった
- アサヒの買収は単独ブランド取得ではなく、AB InBevによるSABミラー買収に伴う独占禁止法対応としての西欧ビール事業取得の一環
- 原材料はとうもろこし・大麦麦芽・複数のホップで、かんきつ系の軽やかな香りとキレのある後味が特徴
- 2026年8月25日から缶350mlが国内で通年販売され、飲食店約7,500店舗でも樽生を展開中
ペローニのようにブランドの背景にある企業の歴史を知ると、同じグラス一杯のビールでもまた違った味わいに感じられるはずです。他の国のビール文化についても知りたい方は、ドイツやチェコ、アイルランドの記事もあわせてご覧ください。
監修: (監修者募集中)(ビール検定1級 / クラフトビール醸造技術者)
この記事はBrewHub編集部が執筆しました。BrewHubはクラフトビール業界に特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。
参考情報
- ペローニ公式ブランドサイト(アサヒビール株式会社)
- アサヒビール株式会社 ニュースリリース「『ペローニ ナストロアズーロ』缶350ml 8月25日から通年販売開始」(2026年7月13日発表)
- 日本経済新聞「アサヒ、『ペローニ・ナストロ・アズーロ』など欧州ビール3ブランドの国内販売開始」
- Wikipedia「ペローニ」「Peroni Brewery」


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