最終更新: 2026-05-15
北海道には約40軒のマイクロブルワリーが存在し、都道府県別では全国3位の醸造所数を誇ります(beer-cruise.net調べ、2023年10月時点)。大雪山系の清冽な水、国内唯一のホップ栽培地である上富良野、そして冷涼な気候。これらの自然条件が重なり、北海道は日本屈指のクラフトビール産地として成長を続けています。
「北海道旅行でクラフトビールを楽しみたいけれど、どの醸造所を訪れればいいかわからない」「札幌以外にもブルワリーはあるの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、北海道全域のクラフトビール醸造所をエリア別に整理し、各ブルワリーの特徴や代表銘柄、見学情報までまとめています。まず北海道がクラフトビールに適した土地である理由を解説し、続いてエリア別の注目醸造所、北海道産原材料の魅力、そして醸造所巡りのモデルコースをご紹介します。
北海道クラフトビール醸造所の全体像
北海道のクラフトビールの歴史は、1994年の酒税法改正にさかのぼります。この法改正で最低製造量が2,000キロリットルから60キロリットルに引き下げられ、小規模な醸造所でもビール製造免許の取得が可能になりました。北海道では1995年にオホーツクビール(北見市)が道内初の地ビールとして誕生し、全国でも2番目に早い参入でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 醸造所数 | 約40軒(2023年10月時点) |
| 全国順位 | 都道府県別3位 |
| 歴史 | 1995年にオホーツクビールが道内初として開業 |
| 特徴 | 大雪山系の軟水、国内唯一のホップ栽培地(上富良野) |
| 主要エリア | 札幌・小樽・旭川・富良野・函館・北見 |
現在、北海道のブルワリー数は約39軒が書籍に掲載されるほどの規模に成長しており(「北海道のブルワリーを巡る CRAFT BEER」2024年6月刊行)、毎年新たな醸造所が誕生しています。全国のクラフトビール醸造所数も800カ所を超え(2024年時点)、業界全体が拡大している中で、北海道は原材料の生産地としても注目を集めています。
日本全国の醸造所の動向については、クラフトビール醸造所一覧もあわせてご覧ください。
【札幌エリア】道都の多彩なブルワリー
札幌は北海道クラフトビールの中心地です。ブルーパブ(醸造所併設の飲食店)からタップルーム専門店まで、個性豊かな醸造所が集まっています。
月と太陽ブルーイング
2014年にすすきの近くの二条市場エリアで開業したブルーパブです。札幌のクラフトビールシーンを牽引する存在で、定番のペールエールやIPAに加え、季節限定のビールも醸造しています。すすきの駅から徒歩約8分とアクセスも良好です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 札幌市中央区(二条市場エリア) |
| 開業年 | 2014年 |
| アクセス | すすきの駅から徒歩約8分 |
| 特徴 | ブルーパブスタイル、食事と一緒に楽しめる |
Streetlight Brewing
2022年にタップルームをオープンし、2023年から自社醸造を開始した比較的新しいブルワリーです。JR桑園駅から徒歩約10分の場所にあり、地元のビール愛好家から支持を集めています。少量多品種の醸造スタイルで、訪れるたびに新しいビールに出会えるのが魅力です。
ノースアイランドビール
2003年に札幌で創業し、現在は隣町の江別市に醸造拠点を構えています。江別産の小麦を使った「ヴァイツェン」や、道産ホップを使用した限定ビールが人気です。北海道の農産物を積極的にビール造りに取り入れる姿勢が特徴で、道内のスーパーや酒販店でも入手しやすい銘柄です。
札幌エリアのブルワリーをもっと詳しく知りたい方は、東京のクラフトビールブルワリー紹介と比較しながら読むと、地域ごとのクラフトビール文化の違いが見えてきます。
【小樽エリア】歴史ある醸造所の風格
小樽ビール
1995年に醸造を開始した小樽ビールは、北海道クラフトビールの草分け的存在です。ドイツのビール醸造国家資格「ブラウエンジニア」を持つヨハネス・ブラウン氏が醸造指導を行い、ドイツの伝統的な製法を忠実に再現しています。
小樽運河沿いの醸造所では、ピルスナーやドンケル(黒ビール)などを製造しており、併設レストランで出来立てのビールを味わえます。小樽観光と組み合わせやすい立地も大きな魅力です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 小樽市 |
| 開業年 | 1995年 |
| 特徴 | ドイツ製法、ブラウエンジニア監修 |
| 見学 | 醸造所見学可能(要確認) |
| 代表銘柄 | ピルスナー、ドンケル |
【旭川エリア】大雪山の恵みを活かした醸造
大雪地ビール
旭川市で100年以上の歴史を持つ建造物を活用した醸造所兼ビアホールです。大雪山系の豊富な天然水と、下川町や美瑛町など近隣の農場から調達した小麦を使用しています。2000年のジャパンビアグランプリ、2001年のジャパンビアカップなど、国内外のビールコンペティションで数々の受賞歴があります。
ビアホール「大雪地ビール館」では、醸造したてのビールと旭川の郷土料理を楽しめます。旭山動物園からも車で約20分の距離にあり、旭川観光のルートに組み込みやすい醸造所です。
【富良野・空知エリア】北海道産ホップの聖地
このエリアは、北海道のクラフトビールを語るうえで欠かせない場所です。上富良野町は道内唯一のホップ栽培地であり、日本のホップ栽培の歴史においても重要な拠点です。
忽布古丹醸造(ホップコタンブルーイング)
上富良野町で地元産ホップを100%使用したビールを醸造しています。「HOPKOTAN ORIGINALS」は上富良野産ホップだけで造る定番シリーズで、「HOPKOTAN FREEDOMS」はブルワーの自由な発想で世界中の原材料を使うシリーズです。ホップの収穫期には、生ホップを大量に使った年に1度だけの限定ビールも登場します。
札幌市内には直営タップルーム「Tap Room BEER KOTAN」(大通駅近く)もあり、上富良野まで行かなくても忽布古丹のビールを楽しめます。
ビールに使われるホップの種類と特徴については、別記事で詳しく解説しています。
滝川クラフトビール工房
空知地方の滝川市にある醸造所で、北海道生まれのホップ品種「ソラチエース」を使った「空知ピルスナー」が代表銘柄です。ソラチエースは1984年にサッポロビールが上富良野で開発した品種で、レモングラスやヒノキを思わせる独特の香りが世界的に評価されています。
| 醸造所名 | 所在地 | 代表銘柄 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 忽布古丹醸造 | 上富良野町 | HOPKOTAN ORIGINALS | 地元産ホップ100% |
| 滝川クラフトビール工房 | 滝川市 | 空知ピルスナー | ソラチエース使用 |
【函館エリア】港町が育てるビール文化
はこだてビール
函館山の天然地下水を使用し、麦芽100%のビールをドイツ式の製法で丁寧に醸造しています。函館ベイエリアに醸造所兼レストランを構え、観光客にも地元の方にも親しまれています。「五稜の星」「北の一歩」「明治館」など、函館の歴史や観光名所にちなんだ銘柄名もユニークです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 函館市(ベイエリア) |
| 特徴 | 函館山の天然地下水使用、麦芽100% |
| 代表銘柄 | 五稜の星、北の一歩、明治館 |
| アクセス | 函館ベイエリア内 |
【オホーツクエリア】北海道クラフトビールの原点
オホーツクビアファクトリー(オホーツクビール)
北見市にあるオホーツクビールは、1995年に北海道初、全国で2番目に誕生したマイクロブルワリーです。1994年の酒税法改正後、いち早く免許を取得しました。副原料を一切使わない麦芽100%のビールにこだわり続けています。
併設のレストラン「オホーツクビアファクトリー」では、オホーツク海の新鮮な海産物とクラフトビールのペアリングが楽しめます。北見市はオホーツク観光の拠点でもあり、流氷シーズンや夏の花畑観光と合わせて訪れるのがおすすめです。
北海道産原材料が生む「北海道ならでは」のビール
北海道のクラフトビールが全国的に注目される理由の一つが、地元産の原材料へのこだわりです。ここでは、北海道だからこそ実現できるビール造りの特徴を紹介します。
ホップ:上富良野の誇り
上富良野町は国内唯一のホップ商業栽培地で、サッポロビールとの協働契約栽培が続いています。同社は2021年に新品種「フラノマジカル」の品種登録を完了し、フルーティで芳醇な香りが特徴のこのホップは、今後の北海道ビールに新たな個性を加えると期待されています。
上富良野のホップ栽培は試験栽培の開始から数えて100年以上の歴史があり、日本のビール産業を支えてきた土地です。
水:大雪山系の軟水
大雪山系から流れ出る天然水は、ミネラルバランスに優れた軟水です。この水はピルスナーやラガーなど、繊細な味わいのビールに適しており、大雪地ビールをはじめとする道内の醸造所が積極的に活用しています。
穀物:道産小麦と大麦
北海道は日本最大の小麦生産地です。ノースアイランドビールの「ヴァイツェン」に代表されるように、江別産や十勝産の小麦を副原料として使用する醸造所が増えています。地元の農業と連携したビール造りは、北海道ならではの取り組みです。
| 原材料 | 産地 | 使用醸造所の例 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ホップ | 上富良野町 | 忽布古丹醸造、サッポロビール | 国内唯一の商業栽培地 |
| 天然水 | 大雪山系 | 大雪地ビール | ミネラルバランスの良い軟水 |
| 小麦 | 江別市・十勝地方 | ノースアイランドビール | 日本最大の小麦生産地 |
| 地下水 | 函館山 | はこだてビール | 火山岩層で濾過された天然水 |
クラフトビールの業界動向や最新データについては、BrewHub業界データまとめページで定期的に更新しています。
北海道クラフトビール醸造所巡りのモデルコース
実際に醸造所を訪れてみると、ビールへの印象が大きく変わります。造り手の顔が見え、その土地の空気を感じながら飲む一杯は格別です。ここでは、2泊3日で北海道のクラフトビールを堪能できるモデルコースを提案します。
2泊3日 北海道クラフトビール旅(5月おすすめ)
| 日程 | エリア | スポット | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1日目午後 | 札幌 | 月と太陽ブルーイング | 到着後すぐに地元の味を体験 |
| 1日目夜 | 札幌 | Tap Room BEER KOTAN | 上富良野産ホップのビールを先取り |
| 2日目午前 | 小樽 | 小樽ビール醸造所 | 運河散策と醸造所見学 |
| 2日目午後 | 富良野方面 | 忽布古丹醸造 | ホップ畑の風景とビール |
| 2日目夜 | 旭川 | 大雪地ビール館 | 郷土料理とのペアリング |
| 3日目午前 | 旭川 | 旭山動物園 | 観光を楽しむ |
| 3日目午後 | 札幌 | Streetlight Brewing | 帰路前に最後の一杯 |
5月の北海道は平均気温が12.7℃(札幌の平年値、気象庁データ)と過ごしやすく、ラベンダーの季節には少し早いものの、新緑の美しい時期です。ビール旅には絶好のシーズンといえます。
ブルワリー見学の楽しみ方については、別記事で予約方法やマナーも含めて詳しく紹介しています。
北海道クラフトビール醸造所に関するよくある質問
Q1: 北海道にはクラフトビール醸造所が何軒ありますか?
2023年10月時点で約40軒のマイクロブルワリーが確認されており、都道府県別では全国3位の多さです。2024年に刊行された「北海道のブルワリーを巡る CRAFT BEER」では39軒が掲載されています。新規開業も相次いでおり、最新の数はさらに増えている可能性があります。
Q2: 醸造所の見学はできますか?
小樽ビールや大雪地ビールなど、一部の醸造所では見学を受け付けています。ただし、事前予約が必要な場合がほとんどです。小規模なブルワリーでは見学を行っていないこともあるため、訪問前に各醸造所のWebサイトや電話で確認してください。
Q3: 冬に醸造所を訪れるのはおすすめですか?
冬の北海道も醸造所巡りに適しています。多くのブルワリーが冬季限定のビール(スタウトやバーレイワインなど)を醸造しており、暖かいビアホールで味わう冬ビールは格別です。ただし、交通手段は限られるため、レンタカーか公共交通機関のルートを事前に確認しておくことをおすすめします。
Q4: 北海道のクラフトビールを通販で購入できますか?
多くの醸造所が自社オンラインショップやふるさと納税の返礼品として販売しています。ノースアイランドビール、大雪地ビール、オホーツクビールなどは通販に対応しています。冷蔵便での配送が一般的で、送料を含めると1本あたり500〜800円程度が目安です(2026年5月時点)。
Q5: 上富良野のホップ畑は見学できますか?
上富良野町のホップ畑はサッポロビールとの契約栽培のため、一般公開されていない区画がほとんどです。ただし、忽布古丹醸造の醸造所周辺ではホップの風景を眺めることができ、夏(7〜8月)にはホップが緑のカーテンのように成長する姿を見られます。サッポロビールが主催する見学ツアーが不定期で開催されることもあるため、公式サイトをチェックしてみてください。
Q6: 北海道で最も歴史のあるクラフトビール醸造所はどこですか?
1995年に開業したオホーツクビール(北見市)が北海道最古のクラフトビール醸造所です。全国的にも、新潟のエチゴビールに次いで2番目に早く免許を取得した歴史ある醸造所です。同じく1995年に小樽ビールも醸造を開始しています。
Q7: 子ども連れでも醸造所を訪問できますか?
大雪地ビール館やオホーツクビアファクトリーなど、レストランを併設している醸造所はファミリーでの来店に対応しています。お子様向けのソフトドリンクや食事メニューを用意している店舗もあります。一方、タップルームのみの小規模ブルワリーでは、お子様の入店ができない場合もあるため事前確認が安心です。
関連記事: 京都のクラフトビール醸造所おすすめ10選|エリア別に巡る醸造所ガイド
まとめ:北海道クラフトビール醸造所を巡ろう
北海道のクラフトビール醸造所の魅力を、改めて整理します。
- 北海道には約40軒のマイクロブルワリーがあり、全国3位の醸造所密集エリア
- 上富良野の国産ホップ、大雪山系の天然水、道産小麦など、北海道ならではの原材料が個性的なビールを生んでいる
- 札幌・小樽・旭川・富良野・函館・北見と、道内各地に特色ある醸造所が点在している
- 醸造所見学やタップルームでの試飲など、現地でしか味わえない体験がある
- 1995年のオホーツクビール誕生以来、30年以上にわたってクラフトビール文化が根付いてきた
まずは興味のあるエリアから1軒訪れてみてください。造り手の想いに触れることで、いつものビールがもっと特別なものに変わるはずです。
北海道以外の地域の醸造所にも興味がある方は、人気ブルワリーランキングもぜひチェックしてみてください。
参考情報
- beer-cruise.net「北海道 クラフトビール一覧」(醸造所数の参照、2023年10月時点データ)
- 忽布古丹醸造 公式サイト(http://hopkotan.com/)
- 大雪地ビール 公式サイト(https://ji-beer.com/)
- オホーツクビアファクトリー 公式サイト(https://www.beers.co.jp/)
- 上富良野町観光協会「ホップと上富良野」(https://www.kamifurano.jp/nature/hop_about/)
- 気象庁 過去の気象データ(札幌の5月平均気温 — 平年値1991-2020年)


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