最終更新: 2026-05-28
Googleトレンドのデータによると、「クラフトビール おすすめ」の検索数は2025年から2026年にかけて約147%増加しています。全国の醸造所数は2026年3月時点で950箇所を超え、スーパーやコンビニでも多彩なクラフトビールが並ぶ時代になりました。
「種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない」「IPAやペールエールって何が違うの?」と感じたことはないでしょうか。世界にはBJCP(Beer Judge Certification Program)が定める分類だけでも100種類以上のビアスタイルが存在し、初めての方が迷うのは当然です。
この記事では、クラフトビールの種類を発酵方法から体系的に整理し、主要15スタイルの味わい・香り・おすすめの飲み方を早見表つきで解説します。まず大きな分類の仕組みを説明し、次に各スタイルの特徴を詳しく紹介、最後に自分に合ったスタイルの見つけ方をお伝えします。
クラフトビールの種類とは?分類の基本をわかりやすく解説
クラフトビールの種類を理解するうえで、最も重要な分類軸は「発酵方法」です。ビールは使用する酵母と発酵温度によって大きく3つのカテゴリーに分かれます。
| 分類 | 発酵方法 | 発酵温度 | 味わいの傾向 | 代表スタイル |
|---|---|---|---|---|
| エール | 上面発酵 | 15〜25℃ | フルーティーで香り豊か | IPA、ペールエール、スタウト |
| ラガー | 下面発酵 | 5〜15℃ | すっきりとしたキレ | ピルスナー、シュバルツ |
| 自然発酵 | 野生酵母 | 自然環境に依存 | 酸味が強く個性的 | ランビック、ベルリーナヴァイセ |
日本で「ビール」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、大手メーカーが造るピルスナータイプのラガービールです。一方、クラフトビールの世界ではエール系のスタイルが圧倒的に多く、ここにクラフトビールならではの多様性が生まれています。
発酵方法の違いについてさらに詳しく知りたい方は、上面発酵と下面発酵の違いを解説した記事もあわせてご覧ください。
クラフトビール主要15スタイルの味わい早見表
ここからは、日本で手に入りやすいクラフトビールを中心に、主要15スタイルを一覧で紹介します。以下の早見表で全体像をつかんだうえで、気になるスタイルの詳細を読み進めてみてください。
| スタイル名 | 発酵 | 苦味 | 香り | アルコール度数 | 色合い | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ペールエール | 上面 | 中 | 柑橘系・花 | 4.5〜5.5% | 琥珀 | クラフトビール入門に |
| IPA | 上面 | 強 | 柑橘・松・トロピカル | 5.5〜7.5% | 金〜琥珀 | ホップの香りを楽しみたい方 |
| ヘイジーIPA | 上面 | 中〜強 | トロピカルフルーツ | 6.0〜8.0% | 白濁した金色 | ジューシーな味が好きな方 |
| スタウト | 上面 | 中 | コーヒー・チョコ | 4.0〜6.0% | 黒 | 濃厚な味わいを求める方 |
| ポーター | 上面 | 中 | カカオ・ナッツ | 4.0〜5.5% | 濃褐色 | スタウトより軽めが好みの方 |
| ヴァイツェン | 上面 | 弱 | バナナ・クローブ | 4.5〜5.5% | 薄い黄金 | 苦いビールが苦手な方 |
| ベルジャンホワイト | 上面 | 弱 | オレンジピール・コリアンダー | 4.5〜5.5% | 白濁した淡黄 | 爽やかに飲みたい方 |
| サワーエール | 上面/自然 | 弱 | フルーツ・乳酸 | 3.0〜5.0% | 多様 | 酸っぱいもの好きの方 |
| ピルスナー | 下面 | 中 | 穀物・花 | 4.0〜5.0% | 淡い金色 | のどごし重視の方 |
| シュバルツ | 下面 | 弱〜中 | 焙煎麦・ビスケット | 4.5〜5.5% | 黒 | 黒ビールをすっきり飲みたい方 |
| ボック | 下面 | 弱〜中 | カラメル・パン | 6.0〜7.5% | 琥珀〜濃褐色 | コクのあるラガー好きの方 |
| ゴールデンエール | 上面 | 弱 | 軽い花・蜂蜜 | 4.0〜5.0% | 明るい金色 | ラガーから一歩踏み出す方に |
| セゾン | 上面 | 中 | スパイス・ドライフルーツ | 5.0〜8.0% | 金色 | 食事と合わせたい方 |
| バーレイワイン | 上面 | 中〜強 | 干しぶどう・キャラメル | 8.0〜12.0% | 濃琥珀 | ワインのようにじっくり味わう方 |
| ランビック | 自然 | 弱 | 酸味・革・干し草 | 5.0〜7.0% | 金〜琥珀 | 唯一無二の体験を求める方 |
この表では苦味・香り・度数の3つを軸にしていますが、ビールスタイル一覧の記事ではさらに細かい分類まで網羅しています。
エール系クラフトビールの種類と特徴
エール系はクラフトビール全体の約7割を占める中心カテゴリーです。上面発酵酵母を使い、15〜25℃の比較的高い温度で約1週間かけて発酵させます。この過程でフルーティーなエステル香が生まれ、ラガーにはない華やかな風味が特徴です。
ペールエール:クラフトビールの入口
ペールエールは「淡い色のエール」という意味で、クラフトビールの基本形ともいえるスタイルです。イギリス発祥のイングリッシュペールエールとアメリカで進化したアメリカンペールエールがあり、日本のクラフトビールシーンではアメリカンペールエールが主流です。
柑橘系のホップアロマとモルトの甘味のバランスが取れており、「クラフトビールを初めて飲む」という方にまずおすすめしたいスタイルです。
ペールエールとIPAの違いについて詳しく知りたい方は、ペールエールとIPAの違いを比較した記事で解説しています。
IPA(インディア・ペールエール):ホップの個性が全開
IPAは現在のクラフトビールシーンで最も人気のあるスタイルです。18世紀にイギリスからインドへビールを輸送する際、防腐効果のあるホップを大量に使用したことが起源とされています。
グレープフルーツ、松ヤニ、パッションフルーツなど、使用するホップの品種によって香りは大きく変わります。IBU(国際苦味単位)は40〜70程度と高めですが、近年はホップの香りを重視して苦味を抑えたタイプも増えています。
さらに派生スタイルとして注目を集めているのがヘイジーIPA(ニューイングランドIPA)です。白く濁った外観とジューシーなトロピカルフルーツの香りが特徴で、従来のIPAより苦味が穏やかなため、IPA入門としても人気があります。
スタウト:黒ビールの深い世界
スタウトは焙煎した大麦を使った黒色のエールです。コーヒーやチョコレートを思わせるロースト香が最大の魅力で、見た目の印象ほど重たくないスタイルも多くあります。
アイルランドのギネスに代表されるドライスタウト、乳糖を加えた甘みのあるミルクスタウト、コーヒーやチョコレートをフレーバーに加えたフレーバードスタウトなど、サブカテゴリーが豊富です。スタウトビールの特徴を詳しく解説した記事では、これらのサブスタイルの違いも紹介しています。
ヴァイツェン:苦味が苦手でも楽しめる小麦ビール
ドイツ・バイエルン地方が発祥の小麦ビールです。原料に小麦麦芽を50%以上使用し、バナナやクローブ(丁子)を思わせる独特の甘い香りが生まれます。苦味がほとんどなく、ビールが苦手な方でも「これなら飲める」と感じることが多いスタイルです。
専用のヴァイツェングラスに注ぐと、きめ細かい泡立ちと小麦由来の白濁した美しい外観が楽しめます。
ベルジャンホワイト:スパイスが香る爽快ビール
ベルギー発祥の白ビールで、小麦とオレンジピール、コリアンダーシードを使って醸造します。爽やかな柑橘の香りとスパイスのアクセントが特徴で、気温が上がる5〜6月にかけて特に人気が高まるスタイルです。
東京の平均気温が18.8℃(気象庁 平年値)となる5月は、冷やしたベルジャンホワイトがぴったりの季節といえます。
サワーエール:酸っぱさが新しいビール体験
サワーエールは意図的に酸味を持たせたビールの総称です。乳酸菌やブレタノマイセス酵母を使って酸味を出すスタイルで、ベルリーナヴァイセ、ゴーゼ、フランダースレッドエールなどが含まれます。
フルーツを加えたフルーツサワーは近年のトレンドで、ブルーベリー、ラズベリー、パッションフルーツなどを使ったカクテルのような飲み口のビールが各地のブルワリーから登場しています。サワーエールとは何かを解説した記事でさらに深掘りしています。
ラガー系クラフトビールの種類と特徴
ラガー系は下面発酵酵母を使い、5〜15℃の低温でじっくり発酵させるスタイルです。すっきりとしたクリアな味わいが持ち味で、普段飲み慣れたビールに近い飲みやすさがあります。
ピルスナー:世界で最も飲まれているビアスタイル
チェコのプルゼニュ(ピルゼン)で1842年に誕生したスタイルです。日本の大手ビールメーカーが造るビールの多くがピルスナータイプですが、クラフトビールとして造られるピルスナーはホップの使い方や麦芽の配合にこだわったものが多く、大量生産品とは一線を画す味わいが楽しめます。
チェコ式のボヘミアンピルスナーはモルトの風味が豊かで、ドイツ式のジャーマンピルスナーはドライでキレのある味わいです。
シュバルツ:ラガーの飲みやすさで楽しむ黒ビール
ドイツ語で「黒」を意味するシュバルツは、見た目は黒ビールですが、ラガー酵母で発酵させるためスタウトよりすっきりとした後味です。焙煎麦芽のほのかな香ばしさを感じつつ、のどごしは軽やかで、「黒ビールに挑戦したいけどスタウトは重そう」という方にぴったりです。
ボック:アルコール度数高めのリッチなラガー
ドイツのアインベック発祥の強いラガービールです。アルコール度数は6.0〜7.5%と高めで、カラメルやパンの皮を思わせる甘い麦芽の風味が際立ちます。さらに度数の高いドッペルボック(7.0〜10.0%)は、修道院で断食中の栄養源として造られたという歴史を持ちます。
苦味と香りで選ぶ味覚マトリックス
クラフトビール選びで最も重要なのは「苦味」と「香りの系統」の2つの軸です。以下のマトリックスを参考にすると、自分好みのスタイルを見つけやすくなります。
| 香り:柑橘・トロピカル系 | 香り:モルト・焙煎系 | 香り:スパイス・フローラル系 | |
|---|---|---|---|
| 苦味:強い | IPA、ヘイジーIPA | バーレイワイン | セゾン(一部) |
| 苦味:中程度 | ペールエール | ポーター、ボック | セゾン |
| 苦味:弱い | ゴールデンエール、サワーエール | シュバルツ、スタウト(一部) | ヴァイツェン、ベルジャンホワイト |
実際にクラフトビール専門店を訪れると、スタッフに「柑橘系で苦すぎないものが好き」と伝えるだけで、ペールエールやゴールデンエールなどの候補をいくつか提案してもらえます。Google Mapsの調査(2026年5月時点)によると、東京都内だけで27件、大阪府で23件、神奈川県で27件のクラフトビール専門店舗が確認でき、高評価4.5以上の店も多数あります。近くの専門店で実際に飲み比べてみるのが、自分好みを見つける最短ルートです。
季節別おすすめスタイルとフードペアリング
クラフトビールの種類を知ったら、次は季節や料理との組み合わせを意識すると、さらに楽しみの幅が広がります。
| 季節 | 気温の目安(東京平年値) | おすすめスタイル | おすすめの合わせ方 |
|---|---|---|---|
| 春(3〜5月) | 10.7〜18.8℃ | ペールエール、ゴールデンエール | 山菜の天ぷら、春野菜のサラダ |
| 夏(6〜8月) | 22.0〜27.4℃ | ヴァイツェン、ベルジャンホワイト、サワーエール | 枝豆、冷やしトマト、白身魚のカルパッチョ |
| 秋(9〜11月) | 13.3〜23.3℃ | IPA、セゾン | 秋刀魚の塩焼き、きのこ料理 |
| 冬(12〜2月) | 5.4〜7.1℃ | スタウト、ポーター、バーレイワイン | シチュー、チョコレート、チーズ |
5月の今、旬を迎えるかつおのたたきには、ペールエールの柑橘系アロマがよく合います。薬味のミョウガやニンニクの風味とホップの苦味が口の中で調和し、脂ののった身を爽やかに引き立ててくれます。
ビアスタイルに合わせた料理選びについては、クラフトビールのおつまみペアリングガイドでさらに詳しく紹介しています。
クラフトビールの種類に関するよくある質問
Q1: クラフトビールと普通のビールは何が違いますか?
クラフトビールは小規模な醸造所が原料や製法にこだわって造るビールを指します。日本では酒税法上の明確な定義はありませんが、一般的には大手4社以外の独立した醸造所が造るビールをクラフトビールと呼んでいます。2026年3月時点で全国に950箇所以上の醸造所があり、それぞれが個性的なビールを造っています。
Q2: クラフトビール初心者にはどのスタイルがおすすめですか?
まずはペールエールかヴァイツェンがおすすめです。ペールエールはクラフトビールの基本形で、柑橘系の爽やかな香りとほどよい苦味のバランスが楽しめます。苦味が苦手な方はヴァイツェンから始めると、バナナのようなフルーティーな香りにビールの印象が変わるはずです。初心者向けの選び方については[クラフトビール初心者ガイド](https://brewhub.jp/beer/craft-beer-beginners-guide/)も参考にしてください。
Q3: IPAとペールエールの違いは何ですか?
一番の違いはホップの使用量と苦味の強さです。IPAはペールエールよりもホップを多く使用し、IBU(国際苦味単位)で比較するとペールエールが30〜45程度、IPAが40〜70程度です。アルコール度数もIPAの方がやや高めで、5.5〜7.5%が一般的です。
Q4: ヘイジーIPAと普通のIPAは何が違いますか?
ヘイジーIPA(ニューイングランドIPA)は2010年代にアメリカ東海岸で生まれた新しいスタイルです。通常のIPAが透明感のある外観で苦味が強いのに対し、ヘイジーIPAは白く濁った外観でジューシーなトロピカルフルーツの香りが強く、苦味は控えめです。醸造工程でオーツ麦や小麦を使うことで独特のなめらかな口当たりが生まれます。
Q5: 黒ビールにはどんな種類がありますか?
代表的な黒ビールは、上面発酵のスタウトとポーター、下面発酵のシュバルツです。スタウトはコーヒーのような力強い焙煎香が特徴で、ポーターはスタウトよりやや軽めでカカオやナッツの香りが穏やかです。シュバルツはラガー酵母で醸造するため、見た目の黒さに反してのどごしがすっきりしています。
Q6: サワーエールは酸っぱいビールということですか?
はい、サワーエールは意図的に酸味を持たせたビールの総称です。酸味の程度はスタイルによって異なり、ベルリーナヴァイセのような軽い酸味からランビックのような強い酸味まで幅があります。近年はフルーツを加えたフルーツサワーが人気で、ビールが苦手な方にもファンが広がっています。
Q7: クラフトビールの種類は全部で何種類ありますか?
世界のビアスタイルを分類するBJCP(Beer Judge Certification Program)のガイドラインでは100種類以上のスタイルが定義されています。さらにサブカテゴリーまで含めると160以上になります。ただし実際にクラフトビールを楽しむうえでは、この記事で紹介した15スタイルを押さえておけば、ほとんどのビールの特徴を理解できます。
まとめ:クラフトビールの種類を知って自分好みの1杯を見つけよう
クラフトビールの種類について、ここまでの内容を整理します。
- クラフトビールは「上面発酵(エール)」「下面発酵(ラガー)」「自然発酵」の3つに大別される
- 日本で楽しめる主要スタイルは15種類程度を押さえれば十分
- 苦味の強さと香りの系統を軸に選ぶと、好みに合ったスタイルが見つかりやすい
- 季節や料理との相性を意識すると、同じスタイルでも新しい楽しみ方が広がる
- 日本のクラフトビール醸造所は950箇所以上あり、各地で個性豊かなビールが手に入る
まずは気になったスタイルを1つ選んで、実際に飲んでみてください。最初の1杯はペールエールかヴァイツェンがおすすめです。近所のクラフトビール専門店で「入門向けの1杯をください」と伝えれば、きっと素敵なビールに出会えます。
クラフトビールの世界をさらに深く知りたい方は、クラフトビール初心者ガイドや、各スタイルの詳細記事もぜひチェックしてみてください。
なお、日本酒にも「上面発酵」に似た独自の醸造技術「並行複発酵」があり、発酵の奥深さに興味がある方は蔵人の並行複発酵解説記事も参考になります。
参考情報
- BJCP Style Guidelines(Beer Judge Certification Program公式サイト、2021年版、https://www.bjcp.org/bjcp-style-guidelines/)
- 日本クラフトビール業界レポート(2025年5月時点、醸造所数・市場規模データ、https://rihobeer.com/news20270527/)
- 全国クラフトビール醸造所リスト(2026年3月時点、https://www.alwayslovebeer.com/craftbeer-microbrewery-brewpub/)
- 気象庁 過去の気象データ(平年値: 1991-2020年平均、東京の月別平均気温)
- Google Trends「クラフトビール おすすめ」検索トレンドデータ(2025年5月〜2026年5月)
- Google Maps クラフトビール店舗データ(2026年5月時点、東京都・大阪府・神奈川県)
- インディア・ペールエール(Wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/インディア・ペールエール)
- ピルスナー・ウルケル(Wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/ピルスナー・ウルケル)


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